マドラス日記 '01/03
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3月16日
今日もいい天気だ。時差の為か、今日も日の出前に目が覚めてしまった。New Woodlands Hotel は、敷地内に緑が多く涼し気だ。部屋が4階だったせいもあり、眺めは良い。それに部屋にエアコンは無いが、窓を開けて寝ると寒いくらいに涼しい。
 ホテルのレストランで食事を取る。私はお馴染みのトーストにスイートラッシー。トーストに付いているジャム(合成着色料ばっちりな赤い色をしていて、只ひたすら甘いだけ)にハマッているのだ。妙に美味しいのでホテル近くのサラバナの隣に出来たスーパーで、おみやげに買って帰ったほど。でも、日本に帰って来ると、それほど食べたく無いのは何故なのだろう?(笑)
食事の後、アショカ家へ向かう。昨日の夜は遅くなってしまったので、挨拶に行けなかったからだ。それに女性ふたりはメヘンディをする事になっていたので、その時間を確認しないといけない。
アショカ家の前に、すぐ近所にあるPrabhu Deva邸へ寄ってみる。朝なら、もしかすると居るかもしれない。訪ねて行くと、正月の時にも見かけた少年が迎えてくれた。彼の案内で部屋の中へと通される。残念ながらPrabhu Devaは撮影に出かけていて留守との事。
 お正月の時と変わっていない室内。すごい数の楯が飾られている。

 チランジーヴィと若かりし頃のPrabhu Deva。
 バラタナティヤムのアランゲトナム。詳しくは野火杏子さんの本「マサラムービー物語」をお読み下さい(笑)
写真の下に飾られている扇子は、お正月に一緒だったポッポさんがプレゼントとして持参したもの。ちゃんと飾られておりました。

 アショカ家ではチェラさんが迎えてくれた。アショカさんは早朝から仕事に出たそうだ。チェラさんに、昨日会ったPrashanthのサイン入りポラロイド写真を見せ自慢する。びっくりするチェラさん。チェラさんは映画好きでアショカさんより事情通だ。チェラさんの話ではメヘンディは明日になったそうで、今日は女性陣も自由らしい。という事で今日も3人のお宅訪問がスタートした。

 まずはmeena邸だ。昨日の様子では帰っていないとは思うが、プレゼントを渡して荷物を減らしたい。また日本へ持って帰るのはいやだ。で、やって来ましたmeena邸。セキュリティが昨日の人と違って、いつものおじいさんになっていた。このおじいさんは私の事を覚えているらしく、「また来たのか」と言うような顔をしている。話を聞くと、やはりmeenaさんは戻っていないらしい。そんなやり取りをしていると家の中から、あの電話番のおじさんが出て来た。また「電話してから来い」と言われるのかと思ってドキドキしていたら、何故か今日は機嫌が良く、家の中へと案内してくれたのでした。そのおじさんに、持ってきたプレゼントとお正月にママと撮った写真を渡す。プレゼントはMeena's Fan Club JAPANのロゴ入り置き時計。おじさんの顔がほころぶ。どうやら気に入ってもらえたらしい。初めて見る、るみちさんとしばちんさんも「おお!」と驚いていた。おじさんは、早速、応接間のテレビの上に飾ってくれた。Meenaさんが撮影から帰って来たら、びっくりする事だろう(笑)おじさんにお礼を言ってmeena邸を後にする。

昨日休みだったSaina Video Visionへ行ってみる。今日は開店していた。Meena出演作を出してもらうが、残念ながらすでに持っている「Varnapakittu」しか無かった。

 続いて向かった先は、るみちさんのリクエストでAjith邸。住所を頼りに向かって行くが、どうもよく解らない。似た通りの名前とは気付かずに、違う通りで同じ番地のアパートの入り口にいたおじいさんに聞いてしまった。「Ajithの家ですか?」「違う」との返事。そんなやり取りを、向いのビルから見ていた親切なおじさんが、私のメモを見てわざわざAjithの家に電話を掛けて、場所を聞き出してくれました。ロンバ・ナンドリー。着いた所はアパート。本当にこんな所がAjithの家なのか?恐る恐るアパートの階段を昇る。3階だと言われたが、それらしい部屋は無い。2つあるドアのうち、表札が出ていない方がそれっぽいとるみちさんと意見が一致し、チャイムを鳴らす。出て来た人に「Ajithに家ですか?」と訪ねると「違う。上の階だ」と。「失礼しました」と急いで階段を昇る。すると沢山の若者が出入りしている部屋があった。中を覗こうとすると「入れ」と(先ほどおじさんが電話してくれたせいだろうか?)。いいのか?と思いながら部屋の中へと入る。

 すると目の前にAjithの顔が!
映画の看板らしい。なんの映画なのだろう?
 その上にはこれから公開される新作「Citizen」のスチール写真が飾られていた。(帰国後、この映画について調べて見るとヒロインは、なんと!!Meena!?そう言えば「ヒロインはmeenaだ」と言われたような気が…)

記念撮影をする。
 さらに奥の部屋へと通され、スタッフの人に自己紹介をする。るみちさんがタミル語で自己紹介すると、たいていの人はびっくりする。「ど、どこで習ったんだ?」と。私はタミル語を話せないので、今回の旅行の為に作った名刺を渡した。裏にMeena's Fan Club JAPANのロゴ入りと、白紙との2種類を用意していったのだが、たまたま白紙の名刺を渡された人は、Meenaの写真付きのに変えてくれと(笑)
「どんな映画を見た?」との質問に、るみちさんが「Kandukondain Kandukondain」とタイトルを思い付かなったらしく、挿入曲の「Smiyai」を「Smiyai〜♪」と歌ったら、周りの雰囲気が一転。「そのミュージカルシーンを撮影したのは、目の前にいる彼だ」「ええ!」
それからは凄かった。Ajithに会わせてやる!という気迫がスタッフ達から、ひしひしと伝わって来る。携帯電話であちこちに連絡を取ってくれ、そして、ついにレコーディングしているAjithに連絡が!!

ここでリクシャーを解雇し、Ajithの事務所のアンバサダーでレコーディング・スタジオへと向かう。ここでもエアコンの有り難さを感じる。 レコーディング・スタジオは意外な所にあった。バディヴェルの事務所の先だったのだ。外見からは、そこがスタジオだとはとても思えない。でも、中に入ると防音のドアがあったりして立派なスタジオだ。各階で映画のレコーディングが行われているらしく、各入り口には映画のタイトルの紙が貼られていた。最上階のスタジオへと案内され、調整室で待つようにと。瓶コーラにストローという、インドではお馴染みのスタイルで御馳走になりました。お!Macintoshが使われているな、などと物珍し気に辺りを観察していると、スタジオのドアが開き、そこにはAjithが!!
ほっそりしたイメージがあったのだが、ちょっとふっくらした?もしかして幸せ太り?今日は事務所に写真が飾られていた新作「Citizen」のレコーディングだそう。わたしはレコーディングというものは、アニメのように出演者が揃って、吹き込むものだと思い込んでいたのだが、違った。今日はAjithしかレコーディングしないらしい。ひとりでは、感情を入れるのが難しいのではなかろうか?
新作「Citizen」では特殊メイクなどで9人の役をやったらしい。「おおー」と感心する私達。るみちさんがタミル語で自己紹介すると、やはりびっくりするAjith。私は「きみは何語がしゃべれるんだ?」と聞かれたので、「日本語とハートtoハート」と答えた。大爆笑するAjith。Ajithから爆笑をとった日本人は初めてではないだろうか?(笑)Ajithはレースが好きで、ビデオを送って貰って見ているそうだ。日本のレーサーの名前も、私よりも詳しく知っていてびっくりした。以前、オートバイで事故をやり2年程入院していたが、今ではまったく問題無しとの事。「その場で振り付けられるダンスシーンは、難しくないですか?ダンスの練習はするのでしょうか?」「もう慣れたので難しくは無い。練習もしないよ。」
「ヒンディ語映画に出演されたと聞きましたが、これからはヒンディ語映画に移行していくのでしょうか?」「オファーが来たので受けたが、ヒンディばかりに出演してしまうと、タミルでの人気が落ちてしまうのでね。タミルを離れることは無い。」
「インターネットでヒンディ語映画に出演した事が話題になっていました」というのがうまく伝わらなくて、「インターネットはやっていない。まったく駄目なんだ。そのかわり奥さんがパソコンを習い始めたけどね。」奥様は女優を止め、専業主婦になられたそう。

 「食事はもう済んだの?」「いいえ」「日本食レストランを紹介しようか?」Ajithさんは、まだまだレコーディングが続くそうで、御一緒出来ませんでしたが、スタッフの一人がアンバサダーで送ってくれる事になりました。Ajithがさかんに「チャイニーズじゃないぞ、シャパニーズだ」と言っているのが可笑しい。Ajithさんにお別れを言い、スタジオを後にしたのでした。

果たして何処に連れて行かれるのだろう?もしかして小林聡美が行った「赤坂」か?聞いた話では、「赤坂」は一回行くと一万円は取られるという高級レストランだそうで、もし「赤坂」だったらどうしよう?と内心びくびくしていた。車が入っていった所は、以前一度来たことがあるチャイニーズレストラン「The Canton」の入っているKavery Complex。案内された先は、天竺飯店というレストランでした。びくびくして損した。店内にあるテレビからはNHKが流れていて、チャイニーズとシャパニーズの中間と言った面もちの装飾。店員さんは日本語が達者で注文も日本語でOK。私はお茶漬けをおいしく頂いたが、しばちんさんが頼んだうどんは、出汁が効いていなくて(醤油の味しかしないらしい)不味かったそう。食事が終わるまでドライバーが待っていてくれて、わざわざホテルまで送迎してくれたのでした。くぅ〜、タミルの俳優さんは誰もがみな親切だ。

 ちょっと時間が空いたので、ホテルの近くのスーパーでお買い物。お約束のジャムやマンゴージュース(ネクター)、でかいくせに安いお香等を買ってホテルに戻る。荷物を置いて、ホテルから程近いNepoleonさんの家に、ホテル前でリクシャーを拾い、向かったのでした。ほどなくNepoleonさんのお宅に到着。車があるので居るのかも?「こんにちは」と入って行く。すると、中へ入れとおじいさんが手招き。ここで待っていなさいと、椅子を勧められる。そのおじいさんの話ではNepoleonさんはお休みになっているらしい。どうもマズイタイミングでお邪魔してしまったようだ。しばらく待っていてもいらっしゃらないので、失礼しようとすると、待て待てと引き止められてしまう。お付きの人らしい若い男の人が、見てなさいと撮影風景の写真を持って来てくれた。その写真を見ながら時間を潰す。夕方の日ざしが応接間に差し込んでいて、なんともいえずいい気持ちになっている三人。天井の扇風機が心地よい風を送っている。このまま寝てしまいたいような気持ちになってしまった。と、突然バチンという音と共に電気が消え、扇風機が止まってしまった。急に暑くなって行く室内。あの扇風機ってば、相当効果を発揮していたのね。一時間以上立ってもいらっしゃらないので、お正月に知り合いになったNepoleonさんのソフトウエア会社に行こうと思い、プレゼントを渡してくださいとお願いする。しかし、待て待てと引き止められてしまう。

 2時間近く立ったであろうか?ようやく2階からNepoleonさんが降りて来てくださり、3ヶ月振りの御対面。
Nepoleonさんに写真と、スモールNepoleonくん(笑)へクレヨン、これから生まれてくる赤ちゃんへベビー服のプレゼントを渡す。
 お正月に撮影していたマラヤーラム語映画は完成したそうで、その映画のスチール写真集を見せて頂く。縦50cm横1m厚さ10cmはあろうかと言うビックな写真集だ。その中に私が見学させていただいたシーンの写真もあり、Nepoleonさんが「ほら」と指をさして教えてくれた。中にはNepoleonさんが真っ赤なパンタロンで決めている写真などもあって楽しめた。オープニングからエンディングまで写真で解るようになっていて見ごたえがある。「あなたの会社の人とメール友達になったんですよ」と、るみちさんが言うと「誰?」「ジェニファーさんです」携帯電話で連絡を取ってもらうが捕まらず。どうも出かけているらしい。
 Nepoleonさんも外出する予定があるようで、写真を撮ってさよならをする。
Nepoleonさんはとても疲れているようで、本当に悪い事をしてしまった。それでも親切に対応してくださって、ロンバ・ナンドリーNepoleonさん。

 Nepoleon邸の前でリクシャーを拾い、スペンサープラザへ向かう。スペンサープラザは2つのビルが繋がった一大ショッピングモールなのだ。夕方なので沢山の人で賑わっている。目指すはmusic world。チェンナイ版HMVといった感じのショップだ。ここはCDの数が豊富でタミルはもちろん、テルグやマラヤーラムの映画CDも扱っている。ここで、meenaさん出演作の掘り出し物を発見しようというのだ。残念ながら大したものは発見できず。Nepoleonさんのところで意外と時間を取られてしまったので、あまり時間が無く早々に引き上げる。帰り際、KIDS"Я"KIDSというお店で、インド版バービーのスペシャルエディションを発見。悩んだ末、しばちんさんがゲット。
アンナサライへ出てリクシャーを拾い、夕食を食べにガンジスへ向かう。ガンジズはバイキング形式のインド料理屋。デザートのアイスクリームが特に人気だ。取りに行こうと思った時には無くなっていた。新しく出て来ると我先にと並ぶインド人。インド人はアイスクリームが大好き。普段、日本で食べるアイスより粉っぽいけど、これはこれでおいしい。お腹も一杯になったし、席を待っている人がいたりもするので、ホテルへと引き上げる。店の前でリクシャーを拾いホテルへ。

 部屋へ戻り、テレビをつけると「Rishi」のCMが流れていた。相当力を入れているのか、毎日流れていた。
 昨日、バーのマスターに「明日は10時に来い」と言われていたので、シャワーを浴びて出かけようかと思っていると部屋の電話が鳴った。なんと!メールフレンドのジェニファーさんからであった。たぶんNepoleonさんから連絡がいったのであろう、わざわざホテルまで駆け付けてくれたのだ。3ヶ月振りの再会である。お正月に会った時に写した写真を見せプレゼントする。「ほら、僕の鬚が無くなっているでしょ?」「あ!本当だ」
彼等は日本で働きたいらしい。こっちはチェンナイに住みたいのに…。

 彼等が去った後、バーへと向かう。今日はマスターはお休みの日なのだが、他のスタッフの人達が暖かく迎えてくれた。トマトジュースを飲む。うまい。残念ながらイベント(?)は無かった。が、「Arvind Swamyが来ているよ」と教えてくれた。帰り際、家族で来ていたらしいArvind Swamyを見かけた。なるほど、バーへ来る途中で見かけた、洒落た洋服の娘さんはArvind Swamyのお嬢さん達だったのか。実質、今日がチェンナイでの最後の夜である。バーのみんなへ、また必ず来るよと約束してお別れする。

 徒歩でホテルへ戻る。今日も一日、いろいろな事があった。明日はいよいよラストだ。

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